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時は2004年の終わり。時代は萌えを求めていた……。
そんな嫌すぎるモノローグから始まるこの【Peace@Pieces】感想。
まさにこのゲームは、誰もが心の奥にそっとしまい込んだ『萌え〜!』な心に響く、
素晴らしいゲームなのです。
さて、萌えとはなんでしょう。
それは、シチュエーションとキャラクターとの微妙な関係が織りなす、さながら
夜空に輝くオーロラのごとき一瞬の奇跡の空間なのです。
そんな大袈裟な─────と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、シチュエーションとキャラクターとの絶妙なバランスを取り間違えたため、
“萌え”ではなく、“イタい”と化してしまったゲームがPCゲーム業界では決して
少なくないことを、忘れてはなりません。
それは、狙えば狙うほどに痛々しく、見るものに『もう、いいから』と思わず制止の
言葉さえかけたくなるほどの悲惨な空間を作り出します。
もしそれを見たことがないという人がいるならば、今度PCゲームショップに足を
運んだときに、ワゴンセールにそっと並んでいる、聞いたこともないソフトハウスが
作った千円以下で売られているPCゲームを買ってみましょう。
苦い後悔の涙と共に、それらのゲームの惨状を見ることが出来るでしょう。
しかして、この【Peace@Pieces】は、あからさまに“萌え”を狙って
いったにも関わらず真芯を捉えた特大ホームランで“萌え”の空間をパーフェクトに
作り出すことに成功しています!
ストーリーのところどころに入る、ギャグタッチで描かれた挿入グラフィックや、
イベントCGの使い方がうまく、“萌え”を求める人達の心のストライクゾーンに
剛速球で直撃間違いありません!!
眼鏡っ子いないけどね!!
あとお姉さまキャラもいないですけどねッ!!
この二点を押さえていれば、パーフェクトだったのですが。残念。
▼ゲームの感想
ストーリーにある通り、主人公は教師であり、偶然にも教え子の女の子が死神候補生
であることを知って、彼女たちが立派な死神になれるよう応援していくことになります。
でも、90%ぐらい普通の学園ものと考えて差し支えはありません。
死神という言葉でイメージされる陰惨な世界など何処にもなく、ゴキブリの魂とか
ネズミの魂とかを相手に二丁拳銃とメカと魔法少女が唸りを上げるムチャな世界で、
主人公は微妙に酷い目に遭いながら右往左往することになります。
無論、萌えシチュエーションHアドベンチャーとか名乗ってるだけあって、しっかり
エッチイベントはストーリーの端々に入っています。
“死神の力を使うと魔力がなくなるので魔力供給にエッチしないといけない”という
ステキな設定は、今やPCゲーム業界では基本なので、違和感など欠片も感じません!
さて、この手のゲームの命となる、シナリオのテンポと、キャラクターの良さですが、
このゲームは最初に語った通り、まさに満点です。
最後に、是非知って欲しいので、ステキ過ぎるキャラクター達の紹介でも。
▼百瀬 ヒカル
メインヒロイン的属性の、ドジで元気な娘っ子。
ドジのあまりに主人公をうっかり二丁拳銃で撃ったのがこのゲームの始まり。
このゲームにしては割とオーソドックスなタイプのキャラクターで、私的にはあまり
ツボではなかったりするのですが、ストーリー序盤から、同居人→Hな寝相コンボ攻撃を
決めてくるあたり、好きな人にはたまらないでしょう。
▼秋月 ナギ
メカ好き不思議少女。
いつからか業界に満ちあふれてしまって供給過多とも言われている不思議少女ですが、
基本に忠実ながら、ラブラブになったときの一途さとかところが良かったり。
そして不思議少女なので当然メカで爆発させたりビーム砲を出したり謎のマシン兵器を
開発したりするわけです。死神候補生という設定はどこへ。
▼小鳥遊 ほまれ
幼なじみ。
主人公を「お兄ちゃん」と呼んでくれます(主人公先生なので歳離れてますからね)。
しかし、押しが弱い常識人のキャラなので、このゲームにおいては存在感が薄いです。
居合い抜きの達人ですが、なんでも両断したりはしません。
料理を作ってきたときの、やたら細かく説明の入った殺人的な料理群は、微妙に味を
想像できてしまえてかえって爆発したりするより不気味でした。
▼山田 まりりん
正義のマジカル美少女極悪スーパー魔女ッこ。
ぶっちゃけた話、このゲームで一番気に入りました。
普通人の脳ではなかなか思いつかないようなエキセントリックな言動が素晴らしいです。
突然魔法少女に変身した挙げ句に地平線から怪獣が出てきて戦闘機と戦ったりし始めた
ときは、ちょっとこのゲームのパッケージのジャンルを確認してしまいました。
あと一緒に連れている使い魔な猫二匹が目を離したらすぐ交尾を始めるとか、隅々
まで行き渡ったアレな設定は製作者の愛を感じずに入られません。
▼あんず
どう見ても他の女生徒より若いというか幼女に見える不思議シスター。
「お出かけですか〜」と良いながら箒を持って現れているらしいが、手に箒を持っている絵がないという不思議な人。
ドジ属性がヒロインとかぶっているうえ、押しが弱いので今ひとつ目立たないが、
転んで水にびしょ濡れ→服が透ける、という基本イベントを押さえたりと、さりげない
アピールが見事なダークホース。
プレイヤーが知らない内に主人公とやたら親密な関係になっているという、たぶん
シナリオに抜けてる部分があるんじゃないかと勘ぐってしまう弱点が。
……と、メインヒロインはこんな感じです。
ちなみに、【忘レナ草】というユニゾンシフトの昔のゲームに登場した死神さんが
出てきていますが、脇役さんなので、知らなくても全然問題なしです。
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