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はじめに はい、来ました。SNOWです。
やった人の多くは絶賛し、やっていない人は疎むというこの作品。
いまさら僕が書く必要もなく諸所で評論されておりますが、
書かずには居られなかった僕の心境を察していただければ幸いにございます。
さて、内容です。ここは順を追って行きたいと思います。ちなみに僕はシナリオメインでレビューを書きます。
ネタばれは極力控えたいと思いますが、内容を話さずしてどうして評論できようか、と考えますので、
ネタばれを好まれない方は、このレビューはご覧になるべきではないでしょう。
ここから先はネタばれ上等ゾーンでございます。ご用意のほう、よろしいでしょうか?
それではレビューに移らせていただきます。
先ずプレイして5分、僕はついDISKを凝視し「Studio Mebius…K○Yじゃないよなぁ…」とディスプレイの上で
昼寝をしていた飼い猫に尋ねてしまいました。
更に5分。僕はパッケージを持ち出し、「SNOW…?A○r2とかいうタイトルじゃないなぁ…?」
と腹丸出しで寝る飼い猫の腹を叩きつつ、呟いてみました。咬まれました。
痛かったです。メーカーが違うからといって油断はできません。ONE2のこともあります。
舞台は一年を通して雪が降る村。キャラクターたちの等身も高い。
でも、何故だろう、何処かが…それこそ「雰囲気」としか言い表せないものがアレそっくりなのです。
畜生、パクりじゃねぇか…。僕はここで発売日に買ったSNOWを永きに渡り眠らす事となったのです。
この不遇の名作が次に日の目を浴びたのは発売から程々経った2004年2月。
奇しくも作品内と同じ時節でありました。
ちなみにこんなえらそうな表現をしていますが遥か以前からSNOWは評価されており、
日の目を浴びておりました。飽く迄このレビューは僕の一人称視点からであります。
人とはかくも身勝手なものなのです。
このような来歴から、僕のSNOWに対する先入観は購入されていない方々と限りなく近いものであったと思います。
それを証明するために長い行を費やしたのであります。
さて、そろそろ真面目にレビューして行きたいと思います。
このSNOW。ご存知の方も多いかと思われますが、現代編と伝説編に分かれております。
伝説編をプレイするにはどうやらメインヒロインであります主人公の幼馴染、澄乃を攻略せねばならぬようであります。
そのつもりはなかった(というかプレイ時、僕は一切情報をカットしてしましたので、
そのことを忘れていたのです)のですが、先ずはメインヒロインでありましょうや(実際にこう思ったわけではない)、
と思いまして澄乃を攻略する事に致しました。
澄乃編
多少主人公が澄乃の思いに流されてしまっているところ(主人公が明確にヒロインに対して恋心を抱く瞬間、
それによる感情の変化などが書かれていないため、そう思えるのです。
これはSNOW全体に言える事であります)や、旅館を経営する事になる経緯などに強引なものは感じますが、
それでも旅館を経営することになったり、その中での澄乃との新婚生活など、新鮮に読ませていただきました。
僕は細かいことを気にせぬ人種なので良かったのかも知れません。
さて、話は進みまして山場でございます。澄乃は記憶を失ってゆくのでありますが、
そのとき主人公はその記憶を失ってゆくことに対して何もせず(介護方法の勉強などできることはあったはずです)
ただ、困惑し、怒るという何もしていない割には「どうすればいいんだ」
と駄々をこねる子供のようで個人的には好ましく思いませんでした。
しかし婚約指輪を捨てられた主人公の悲壮感は良くわかりましたし、主人公の辛さを表現する、
という意味では正解でありましょう。
エンディングにおいて澄乃は結局どうなったのか(大体わかりますが)暈かし、
語りを入れるのは良かったのではないかと。
レジェンド編
澄乃をクリアしましてさぁ次だと思いメニューを見るとlegendという項が増えているではありませんか。
危うく見逃してしまうところでした。
このレジェンド編は村に伝わる悲恋のお話であります。過去あったことを追体験するのでありますね。
方々の評価はこちらに集中しておりましたが、僕はそうは思いませんでした。
何にしてもAi○のsumme(だっけ?)に似すぎておりました。
主人公の死も駆け足で、理解できませんでしたし。
それに野党にしても竜神を襲う意味が今一納得できませんでしたし、僕の中ではむしろ評価は低くあります。 さらにレジェンド編から生き残り、SNOW本編に出てくる人物が多すぎるきらいがあります。個人的にですが。 僕はレジェンド編とはSNOW本編を盛り上げる小道具と捕らえております。 これ単体に大きな興味はないので書くことも少ないです。
旭編
ここまで僕にとってSNOWは時間つぶしでありました。
僕は断言します。SNOWの素晴らしさはここから始まります。
旭とはレジェンド編をすればわかるのでありますが、水墨画の中の兎が命を持ち、
人の姿を取ったもの。旭は水墨画を抜け出したものの、水墨画に依存していることは否めず、
水墨画が燃えれば、彼女の存在もなくなってしまいます。
そして旭が人の姿を取ることはそれだけで力を消費し、次第に5感が失われ、
その失った力の分、水墨画に兎の姿が浮き上がって行くのです。
旭は自らが水墨画の兎とは気が付いておりませんが、水墨画に対し、奇妙な感情を抱いております。
旭は主人公とともに過ごし始め、5感が衰えてゆくのですが、それを水墨画の所為である、
と考え水墨画を燃やそうと致します。
この事実を知らないが故の行為、すべてを知っているプレイヤーからすれば「暴走」とも思える行動が旭編最大の肝なのです。
僕たちはすべての事実を知っており、旭の行うことが如何に危険であるか知っている。
けれど旭は知らず、主人公も何か感じているが確信はない。
このプレイヤー、主人公、旭…三者のすれ違いが刹那的な面白さを与えます。僕はマジで開いた口が塞がりませんでした。
しぐれ編
胸が大きいです。僕はもう、目、奪われっぱなしです。
しぐれ編において素晴らしい、と思ったのは主人公が過去(レジェンドの世界)へ赴き、
歴史を変える、というものです。これは結構ありがちなネタでありますが、
すごいのはレジェンドにて非常に重く、重大な事件を主人公は軽く、明るく吹っ飛ばしてしまうこと。
普通、重く、重大で、幸と不幸を分けるような事件を変えるとき、思いっきり考えておこなうだろうに、
主人公は「だからどうした」と言わんばかりに明るく軽く吹っ飛ばしたのです。
考えれば主人公は過去、どんなことがあったか詳しく知らないのでありました。
だからこそ、なのでありましょう。主人公が過去に来た意義のようなものを感じました。
桜花編
ついに来ました桜花編。このストーリーにSNOWのすべてがこもっています。
細かいことをこれまで書いてきましたが、この桜花編に至っては是非買っていただいて、
自らそのストーリーに触れていただきたい。 一言言うとすれば、プレイ後の感想を。「泣けない自分が恥ずかしい」、僕はそう思いました。
総括
長いですがWINDのようにビニール袋を伸ばした様な長さではありません。
初めから長いサイズで作られたビニール袋の長さです(変なたとえですね…)。
確かにKE○の影はありますが、それも前半だけ。後半は悲しみを吹っ飛ばす素晴らしい出来です。
是非桜花編までやっていただいて、SNOWの美しさを感じでほしいと思います。 ちなみにこのレビュー順にストーリーをプレイするのがベストだと思います(もしかしたら順番が決まっているのかも)。
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