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始めの一言。 「企画」として誕生した会社、リューノス(龍ノ巣)の作品です。 原画が元アボガドパワーズの『小池定路』(こいけ さだじ)さん という事で買った方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?
あらすじ♪……おっとその前に。
この作品、最初から縁が出来るカップルが決まっています。 そういう事も手伝ってか、全体的に少し変わった雰囲気が漂っています。 更にそれに合わせて登場人物の個性もかなりはっきりとしているので、 前髪で目を隠した主人公が出てくる作品からこの作品に移った場合、 「感情移入しにくい!」という評価になるかもしれません。 そこを頭に入れた上でこの先の感想を見て頂ければと思います。
あらすじ
とある地方都市から国道を東に25分、鉄道で10分ちょっと、 三方を小高い丘に囲まれた細長い平野の中に「神谷上町」(かみたがりまち)は存在します。 神谷上の風景はといえば、きっとあなたが心の中で描いている田舎、まさにそのものです。 ただ、そんな田舎とはいえ文明から置き忘れられているわけでは有りません。 隣りの市まで行けば小さいながらもデパートが存在し、朝の国道で渋滞が起きたりします。 足を伸ばしてみようと思えばいつでも行ける。でも、ついつい忘れがち。 そんなちょっとした場所で繰り広げられる男女の淡い恋物語。 今日はそれを少しだけ覗かせて頂きましょう……。さあ、少しだけ足を伸ばして——
全体的なシナリオ……80点 全体的な流れに関しては悪くは無いです。むしろかなり良質だと思います。 ただ、大規さん(終末の過ごし方シナリオ担当)の影響が有るように感じました。 まぁ、大規さん自身がパッケージ製作で関わっているので、 有る程度「指導」した面も有るとは思うんですが。 個人的には大規さんの台詞回し(※1)は好きなんで歓迎でした。 そうそう、個別シナリオは繰り返す事で選択肢が増えたり減ったりします。 それに合わせてエンディングも各カップル数個ずつ用意されているようです。 それと誤字脱字が数個程度見付かりましたが、 これは可愛い程度なので勘弁してあげられるレベルかと思います。 気付いたら「眠かったのかなぁ」なんて考えつつ次のページに進んであげて下さい
個別シナリオ……80点 —見つめている瞳— 歩と道成 デカ男と小さい女の子のストレートな恋物語です。 全体的に少女漫画(※2)っぽい雰囲気が感じられます。 ちなみに歩(女の子)に関して言えば最初の登場場面では100%「少年」だと思いました。 でも、段々と読み進める内に愛着が湧いて来るから人間とは不思議な物です。 道成(男の子)の方は渋い感じで最初から最後まで好印象でした。 ただ、テレた描写が歩より可愛いと思うのは筆者の精神が狂っているんでしょうが。 このシナリオなら85点があげられると思います。
—近くて遠い二人— 志帆と透
今度はデカ女と小さい男の子。さっきとは逆パターンです。 彼氏とすれ違っている志帆(女の子)に、 はっきりと「あいつと居ても面白く無さそうだな」と言葉を浴びせる透(男の子)。 そんな言葉を志帆は無表情で受け流していくのですが……。 志帆が余りに感情を出さないのでちょっとイライラする人が多いかもしれません。 理由が分かりさえすれば納得出来るとは思いますが。 ということでこのシナリオに関しては75点くらいですか。
—鉄壁の幼なじみ— 美夏と陽太 好きなんだけど向こうッ気が強くて本当の気持ちが言えない。そんな二人の物語です。 陽太(男の子)の方がエロで軽薄(?)という高校生らしい役割を背負っているので、 ある意味安心して読み進む事が出来ます。 最初余り可愛く見えない美夏(女の子)が、 テキストが進むにつれて段々と可愛く見えて来るのにはやられました。 80点くらいはあげられる出来かと思います。
時間的には各3時間×3=9時間+αくらいでしょうか。 個人的には長いとも短いとも思いませんでした。 共通シナリオが余り多くない上共通している部分も立場によってテキストが変わるので 半ザッピングシステムのように感じました。全体的に好印象。
CG……85点
相変わらず雰囲気の有る絵です。綺麗な水彩塗りと余り大きく無い目。 一般的には余りリアリティーが無いと言われていますが、 人間が物を見る時には必ず頭の中にイメージが有る事を考慮すると、 実はかなりリアルな絵なのではないかと思っています。 ということで85点くらいですかね。
サウンド……80点 シンセサイザーを使っているのにどこか少し土の匂いがする音ばかりです。 この作品のイメージにはかなり合っているかと思います。 ただ、惜しいかな盛り上がる所での「押し」が若干足りないように思えました。 何というか、「乗り心地は良いんだけど……、どうも坂が登っていかないんだよね」 と評される車のようです。とても惜しい。 ボーカル曲の魔術(※3)に捕われなかった事を考慮して80点。
システム周り……70点 何せ古い作品なので充実とはいきません。
セーブ関係 セーブ・ロード12個 latestロード(一番最近の選択肢を勝手に保存)1個
サウンド&効果音調整 個別無段階調整。
スキップ関係 既読文瞬間表示orスキップ 速度調整(三段階)
その他 CG・回想・サウンド各モード 登場人物紹介etc...
今だったら50点くらいの出来ですが、古い事を考慮して70点という事で。 ちなみに、中古で3500円前後の模様。個人的にはアリだと思いました。
※1→個人用語 大規氏はかなり台詞回しに特徴が有る。 映画のナレーションっぽい物、体言止めの使用が代表的。 どうやら好き嫌いがはっきり分かれる傾向に有る文章らしい。
※2→その名の通り女の子向けの漫画 筆者は少女漫画を読むのが何気に好き。 お勧めはいくえみ綾さんと矢沢あいさん。 太陽が少し出始めた頃に読むと、何とも幸せな気分になれますよ。
※3→個人用語。 筆者はどうも人間の声とAVGのマッチングに疑問が有るようで、 クリック連打か、その時間を休憩に使いつつ飛ばしてしまう。 個人的はボーカル曲を一曲作るくらいだったら、 そのゲームの雰囲気に合った曲を1曲でも良いから多く作って欲しいと思っている。
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