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07/31 の更新 ・感想は投稿人の"無差別 流"さんです〜
 初夜献上 (大熊猫 2001.1026 )  

・総合評価 B-ランク   ■■■■     ・音声の有無  あり   
・ヌキゲ評価 D+ランク ・アニメの有無  なし
・エロゲーのジャンル ADV ・CGの枚数  110枚
・CDの枚数  1枚組 ・エッチなCGの比率  50%
■手短なゲームの内容
☆ストーリー
 二親を亡くして、唯一の肉親でありながら一面識もなかった祖父が
 危篤との報に接した主人公。バイクを駆り実家である山奥の集落に着いた
 矢先に一人の少女・ヒメをはね、自らも失神してしまう。

 運び込まれた民家で従姉妹・葉花に世話になりながら祖父との面談を待つが、
 容態が安定しないとの理由で遠ざけられてしまう。
 その状況になにやら説明のつかない胸騒ぎを覚える中、葉花、
 ヒメとの共同生活が始まった…。

 ☆ゲーム内容・システム

 オーソドックスなアドベンチャー。最初の一週間での選択肢によって、
 葉花かヒメか千鳥(近所に住む学生)の3つのルートにわかれます。
 あとひとつだけ誰にも属さない場合(バッドエンドルート)もあるので全部で4ルートですね。
 選択肢は比較的わかりやすい方だと思います。
 CGコンプも簡単です。
 システムはビジュアルアーツ系のおなじみのもの。
 随時セーブ・ロード、文字速度・音量調節、自動送りなど完備。
 読み返し機能もついてます。

■■ぶっちゃけたエロゲー感想
「『初夜献上』ってさ、インパクトあるネーミングだよね」
 「たしかに。捧げます!好きにしてください!うっひっひっひそれでは
  遠慮なく〜な展開を期待させるよね〜〜。

  …でも良くも悪くもその印象を裏切ってるゲームになっちゃってるんだな〜」

  「どういうこと?」
  「主人公は下心満載のゲス野郎じゃないってこと。メインの展開では、
   主人公は初夜を献上される立場になって、純真な恋心との葛藤に
   悩み苦しむという具合」

 「純真な恋心ねぇ…あんたの口から最も出てきそうにない言葉だわ」
 「うるさい。まぁ、確かにオレはどっちかつーと鬼畜陵辱猟奇趣味だからな。
  正直、そういう展開も期待したんだけど…」

 「はずした?」
 「うーん、確かにバッドエンドルートにはそういう趣があるよ。
 開き直っちゃった主人公がサド根性全開で犯りまくっちゃうって展開ね。ただ…」

 「ただ…?」
 「しょせんはバッドエンドっつーか…うーんなんていうんだろう。
  シナリオに本気が見えないんだよねー、陵辱展開には」
 「おざなりに書いてる?」
 「いや、それなりにしっかりやってるんだよ。ボリュームもかなりあるし、
 エロ描写もしっかりやってる。絵も、まぁ、きっちり描いてる。
 でもね、前半で丁寧すぎるほどに主人公の恋心を追っかけていたんだから、
 陵辱するならするですさまじい葛藤なり苦悶なり狂気なりが見えないと
 リアリティーが出ないじゃん。それがすっぽり抜け落ちてるんで…」

 「まるで別のゲームになっちゃったみたいだと?」
 「そういう言い方もできるかな。まぁ…繰り返しになるけど、
 しょせんはバッドエンドってとこだね。だから、陵辱的なものを期待して
 これを買うのは、正直おすすめできない」

 「じゃ、アンタ的にはダメだったってことじゃん。ばりばりの鬼畜ゲーマーだから」
 「う…まあ、その点は確かに裏切られらたのよ、悪い意味で」
 「…最初に言ってた、良い意味でも裏切られたってのがあるのね?」
 「そう…残りの純愛(仮名)ルートの方だわさ。これは…もうけものだった」
 「(仮名)ってあたりに、普段やりつけてないゲームだっていう思いが
 こめられてるのね」

 「解説ありがとう。そう、普段は見向きもしないジャンルだからね…
  甘い青春の思い出とか、ほのかな恋心だとか、命を懸けた真実の愛だとか…
  けっ、とか思ってるし」

 「またそーゆー極端なこという…某方面の熱心なファンからカミソリ届くわよ」
 「…」
 「ほら、謝罪謝罪」
 「ふんっカミソリなんてこわくないやい…」
 「…ハードディスクも火を噴く超強力ウイルスメールとか」
 「…」
 「…」
 「…ごめんなさい。もう言いません書きません人の趣味にケチつけません」
 「よろしい」
 「…しゅん…」
 「で、まぁ、結局のところ、普段やりつけない傾向のシナリオに遭遇して
  ショックを受けたってワケなんでしょ?」

 「うーん、でも経験がないわけじゃないんだ。コンプリートこそしてないけど
  『ONE」だってやったし、『痕』にもえらい衝撃を受けたし」
 「またビッグネームを出してきたわね…もしかしてこのゲームは
  『痕』級の出来だって言いたいの?」

 「いやいやさすがにそこまでは。ゲームってのはアダルトに限らず総合芸術だからね。
 シナリオの出来だけじゃなくて、音楽や絵、もちろんゲーム性だって
 忘れちゃいけない。
 その全てがうまく噛み合って高めあってはじめて傑作と呼ばれるに
 値するものが生まれるわけだ。
 『痕』しかり、『アトラク=ナクア』しかり」

 「抜き目的のエロゲーマーのあんたに芸術なんて語って欲しくないけどね」
 「うっ。ま、それはさておきこのゲーム、シナリオあるいは演出や構成の点で、
 過去の傑作群には及ばないのは確かなんだけどね。
 まず、なんといっても痛いのがセリフ回しの冗長さで…」

 「たしかヒロインの一人が泣き虫だとか…」
 「そう、葉花。泣き虫な上に決断力ないから、ふつーなら一行で済む
 セリフに百行くらいかかってる。『うぇ…ぐすっ…だから…』
  『だから…ぐすっ…つまり…』ってな感じでえんえんとやられた日にゃあ、
 さすがのあたしもぷっつん…」

 「それがカワイイっていう人も世間にはいるのよ、きっと」
 「かもね。でもこのゲームの登場人物、主人公から端役にいたるまで
 みんなこの調子なんだ」
 「みんな泣き虫なの?」
 「そうじゃない。シナリオライターのくせなのか、それとも…」
 「それとも?」
 「リアリティを高めるために意識的にやったのかも知れない。
 ボクラがふつーにやってる日常会話ってのは、案外意味のないことしゃべってたり、
 繰り返しが多かったりで無駄だらけだっていう指摘をどっかで読んだことがあるんだ。
 決してドラマや小説のような効率の良い会話はしてないってさ」

 「それを、このゲームは…」
 「あえてシナリオ、セリフ回しの王道をはずしてリアリティ優先にさせたのかなぁ…
 なんてね。おそろしく冗長になるというデメリットを承知で、ね」
 「それで…メリットはあったの?」
 「だからさっきから言ってるじゃん…リアリティを高めるためだって。で、聞かれる
 前に結論を言うと…」
 「ふむふむ」

 「…この試みが成功だったかどうかは、わからない」
 「へ?」
 「だって。結果としてオレはね、ここに出てくる主人公やヒロインに、
 とてつもなくリアリティを感じた。これは神かけて事実。
 だからと言ってそれが、この冗長セリフまわし手法のおかげだったかどうかは
 わからないし、断定するだけの技量もない。もしかしてフツーの一般的な、
 だるくない効率的なセリフまわしで同じリアリティを出せたかもしれない」

 「なんか煮え切らないなぁ…」
 「そーゆーもんだよ。評論家でもライターでもない単なるいちゲーマーの
  オレにはそこまでしか言えないよ。清濁併せ呑むっていうのかね、こーゆーの」
 「また古狸な政治家が使いそうな言葉を…」
 「いや、マジな話、ゲームにはそういう側面は多いと思うのよ。
 欠点や不満点を指摘するのは簡単だよ。でもね、
 その前に『これはほんとうに欠点なのか』『気づかないメリットもあるのではないか』
  って考えてみるのも大切かなぁ、って思うのよね」

 「ふーん…まぁアンタの主張はそんぐらいにして、『初夜献上』に戻ろ?」
 「うむ…脱線失礼。そういやこのレビューそのものが冗長になってきてるし…」
 「それってオチなの?」
 「や。まだオチない」
 「はいはい、じゃ先進んで」
 「…」
 「…で結局どーなのよ。アンタこのゲーム気にいったの?」
 「気に入った」
 「どこが?」
 「ちゃんと使えること」
 「あららら。なんか偉そうにウンチクたれてたわりには拍子抜けな結論ね」
 「いちおうパッケージにも『豊富なエッチシーンに融合した、高いストーリー性』
 ってうたってるからね。ここをクリアした時点でオレは満足」

 「豊富なエッチシーンはいいとして、高いストーリー性はどうなのよ?」
 「うむ…正直言ってアラはある。舞台となる集落では古い因習にとらわれていて、
 若い女性はすべて一人の男性に処女を捧げなくてはいけないことになってるんだけど…
 この設定が穴だらけでね…納得がいかないっつーかリアリティに欠けるというか」
 「穴というと?」
 「考えてもみなよ…いくら陸の孤島のような辺境の集落とはいえ、現代の日本だぜ?
 若い女の子が『お前のバージンはこいつに捧げるのじゃ』とか村オサに言われてはい
 そーですかなんて納得すると思うか?」

 「まぁ…しないわね、ふつー」
 「いちおうオカルト仕立てっぽい脅しもあるんだけど、そんなの
 『信じらンな〜〜い!』の一言で終わりじゃん。
 弱いんだな。大体今の日本なんて家とか地域社会とかの権威なんてあってない
 ようなものだし。
 こんな封建的な制度に唯々諾々と従う土壌が現代日本に残ってるなんて
 リアリティがないよ。
 っていうかリアリティを出すための努力を放棄したようにも思える」

 「…リアリティか…たしかさっきもそんなこと言ってたねぇ、アンタ」
 「まぁね。セリフとかは例の冗長効果のかいあってか非常にリアルなんだけど、
 それが乗っかる土台の設定が…まるっきりファンタジーなんだな」
 「それが気に喰わない、と?」
 「ところがどっこい、悪くないんだな…これはこれで」
 「…へ?」
 「だから。リアリティに欠けるファンタジーな設定、これはこれでよし、なんだよ」
 「…なんか頭痛くなってきた。あんた、けちょんけちょんにけなすのかと
 おもいき や、一転して同じところをほめるんだからなぁ…どうなってんのさ?」

 「だから、前に言ったでしょ。『清濁併せ呑む』なんだってば。
 欠点がそのまま欠点であるとは限らない。
 舞台設定におけるリアリティの欠如こそ、このゲームの真骨頂かもしれない、
 っていう考え方もできる、ってことさ」

 「何言ってるのかわかんないよ…それじゃあ」
 「うーむ…そうだな…。お前、恋したこと、あるか?」
 「…何よいきなり」
 「恋したことあるか?」
 「…そりゃアタシもいいオトメですから…恋のひとつやふたつやみっつ…」
 「ならわかるだろ…?恋にリアリティがあるか?どっちかつーと
  ファンタジーだと思わないか?」

 「うーん…ファンタジーって言葉をどう解釈するかによるけど…
 現実というよりは夢、だわよね…地に足がついてないっていうかんじ…」

 「だろ?恋してる人間に現実なんて見えやしない。
  ふたりだけのファンタジーに入ってこそ恋だろ」
 「ま、恋は盲目っていうけどね…」

 「そこでだ。この『初夜献上』、序盤こそ現代日本の一集落という現実的な
  舞台でスタートするが、物語が進み恋が芽生え成長するに合わせるかのように、
  非現実的・ファンタジックな村の実態があきらかになっていって…
  さらにそれが恋のファンタジー性を強化して…」

 「正のフィードバック…」
 「難しい言葉を知ってるな。まぁ、相乗効果って言い方でもいいだろう」
 「そうか…そういう見方も出来るのねぇ…ファンタジックにめくるめく恋が
 展開して…なんか素敵そうな物語…」

 「や、題材が題材だけにファンタジーといっても悪夢に近いだけどね」
 「悪夢…」
 「いうまでもないが、悪夢もまた恋の一側面だからな…楽しいだけが
  恋じゃないってことぐらい、お前にもわかるよな?」

 「そ、そりゃまあ、ねえ…」
 「愛が深すぎて憎む。嫉妬に苦しむ。いつか醒めてしまうのではないかという恐怖。
 おしなべて悪夢といえよう…」
 「…あんたカッコつけ過ぎ…ナルちゃんになってるよ…」
 「はっ。いや…まぁ…このゲームでの描いている悪夢は…
  相手を傷つけてしまうのではないかという恐怖心だ」
 「肉体的に?」
 「まぁシナリオ的にはそうなんだけどね。
 あくまでそれはシナリオ作法として肉体的な危害を取り扱っているというだけで、
 その根底にあるのは、精神的に傷つけるという点にあると思うんだな」

 「うーんつまりどういうこと?」
 「どっかの歌にもあったと思うけど『恋とは傷つけあうこと』なんだ。
 それ抜きに恋愛はない。ただし、物語として成立させるために、
 肉体への危害という目に見える形にする必要がある」
 「それって鬼畜・陵辱・猟奇モノの話じゃないの?」
 「より純化・象徴化した場合には…うん、それになるね。ただこのゲームの場合は
 そこまで純化する手前で止めておいて、ギリギリ恋愛モノの範疇に
 とどめていることで…微妙なバランスの上に立っていると思うよ」

 「それって中途半端ともいえるんじゃないの?」
 「いや…オレはおいしいトコどりだと見るね。で、
 いい感じで成功しているなというのが正直な感想なんだ」

 ……

 「なんか抽象的な話で疲れちゃった…なんかサクッといえることない?」
 「そうだね。絵の話でもしようか。パッケ絵を見てもわかると思うけど…
 題材に合ったいいキャラデザだよね。
 過度にマンガ的でもなく、リアル調でもないところで気に入ってるよ。
 で、ね……立ちキャラがね…すごい気合入っててこれまたいい感じなんだ。
 オレがやった範囲では『ピュアメール』以来の出来だね」

 「目パチ口パクとかするの?」
 「それはしないんだけど、かなり細かくパターンを作ってるから、
 見てて気持ちいいんだよね。それが…すごく魅力的なんだなぁ…
 セリフの冗長さも、この立ちキャラ演技でかなり救われた部分があるよね。
 一枚絵のイベントじゃなくて、立ちキャラで萌え〜ってのがこのゲームでしょう」

 「一枚絵はどうよ?」
 「うーん…ふつーのゲームとは逆パターンになっちゃうけど、
 立ちキャラに負けちゃってるんだよね。残念ながら。
 でもまぁ平均水準はなんとかクリアしてると思うよ」
 「エッチの方はどうよ?」
 「いちおうウリにしてるだけあってしっかり描いてるよ。CG枚数も順当だし、
 テキストもほどほどに濃い。純愛とバッドルート合わせて1キャラ3〜6シーン
 用意されてるし。話の流れを壊さない範囲でしっかりやってるところが
 好感度大だね。ただ…」

 「ただ…?」
 一部エッチCGではキャラが別人に見えるところがちょっとね…
 これはもうちょっと頑張って欲しかった。
 特に髪型に特徴のあるヒメは、エッチになると髪を解いちゃう上に
 薄暗がりで色まで変わるもんだから…まったく別人に見えるのよ…
 エッチシナリオ上のミスといってもいいかもしれないけど」
 「女の子はベッドでは変身するのよ…」

 「そりゃそうかもしれないけどさ…。まぁ、個人的には満足。ちゃんと使えたからね」
 「…はいはい。他には?」
 「システム関連のストレスはなし。そこは安心していいと思う。
 読み返し機能もついてるしね。音楽はピアノ主体のムーディーなもの。
 ありがちだけど、まぁ順当に王道でしょう。
 ゲームの気分にマッチしてて気持ちよくひたれます。
 声優さんの演技も…普通のところもエッチなところも水準以上。
 不満なし、ですな」
 「そういえば…『初夜献上』ってタイトルってことで初物好きのヒトにはどうよ?」
 「ああ…そうね…初めてだからイタイだとか怖いだというテキスト描写はあるけど、
 破瓜の流血描写はテキストにも絵にもないんで、そーゆーのが好きなヒトは
 期待しないように。
 逆に苦手なヒトは安心してどーぞ。
 おれも苦手なんで助かったんだけどね。
 あとこれも細かいですがパッケ絵表のヒメは手コキしてくれます。
 実写アダルトではずいぶん前からブームだったらしいですが、
 エロゲでは初めてみました。もしかして、貴重?」

 「…あっ。そういえばこのサイトのエロゲNAVIの扉に…」
 「良く気がついたね。このゲームの幼女キャラ・里緒ちゃんが出てます。
 この子は攻略不可です。エッチのエの字もありません。
 そーゆー趣味の方はくれぐれも期待しないように!」
 「…そーゆーおまえが期待してたんだろ…」
 「…すいません。どうせ鬼畜ですあたしゃ…ぐすっ」

■■■まとめ
上では熱っぽく語りましたが、正直シナリオは賛否が分かれると思います…。
  ただハマル人には妙にはまるものになってますので…そうですねえ…
 とりあえず抜きゲーとして買う、と。パッケ絵を参考にして、ね。

 その部分では水準をクリアしてますからね。
 ついでにシナリオが気に入ったらもうけもの、ぐらいの気構えで買うのが吉かと。

■絵や内容の詳細はここから〜
  大熊猫

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